サプリ11

忙しい現代人にとって、食事はただ空腹を満たすだけのものではありません。美味しいだけではなく、どのような栄養が含まれているのか、体が持つ不調に対してどのような効果があるのか、というのも大きな関心事になっています。

そんな消費者の関心に答えてくれる「機能性表示食品」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

「ルテインを含む機能性表示食品で目の調子を整えよう」

食品に関する知識を深めようと思っても、なかなか素人には難しいもの。栄養素だけでも膨大な数があるので、その効果まで把握しておくのは不可能と言っていいでしょう。買い物に行ったとき、「この商品にはこんな効果があります」と書いてあれば非常に便利ですし、商品を選ぶ大きな手助けになります。

しかしながら、こういった広告は厳しく取り締まられています。虚偽、誇大な表現を用いた悪質な広告が広がってしまうと、消費者が商品を選ぶ手助けになるどころか、騙されて質の悪い商品を選ばされてしまう危険性があるからです。

2015年に「機能性表示食品」が登場するまで、食品の機能性について表示が認められていたのは「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」だけでした。特定保健用食品は消費者庁長官の許可を得て表示できるもので、特定の保健用途に適することを商品のパッケージに表示することができます。

つまり、国の審査を受けて通過した商品だけが表示を許されるものなのです。栄養機能食品は、ビタミンやミネラルなど、特定の栄養成分を補給するために利用する食品です。国への届け出や許可は必要ありませんが、一日辺りの摂取目安量と、その中に含まれる栄養成分量を表示しなければなりません。

摂取目安量は国が定めたもので、かつ栄養素ごとにことなります。特定保健用食品や栄養機能食品は便利ではあるものの、範囲は限定的でした。そこで等除したのが「機能性表示食品」です。新しい食品の表示制度として登場し、これまで使えなかったような食品の機能性を表示することができるようになりました。

ただし無制限に使えるという訳ではもちろんなく、食品の安全性や機能性について一定の条件をクリアする必要があります。特定保健用食品とは異なり国の審査はありませんが、事業者の責任で消費者庁に届け出を行う必要はあります。

また、事業者が情報を公開することが義務付けられています。

機能性表示食品のルールとして、業者は「安全性を確保する」「機能性を担保する」「消費者に適切に情報を提供する」という3つのルールを守らなければなりません。具体的に確認していきましょう。まず安全性。食品ですから、当然食品としての安全性はしっかり確保されていなければなりません。

単に衛生環境に気をつけていれば良いという訳ではなく、消費者が安心して食べられるよう、事業者は消費者に対して信頼を得られるような活動をしなければなりません。これは機能性表示食品だけではなく、食料品全てに当てはまることと言えます。

次に機能性の担保です。機能性を表示するためには、科学的な根拠を示さなければなりません。臨床試験または研究レビューがそれに当たります。研究レビューとは、肯定的な結果だけではなく、否定的な結果も含めて「機能性がある」と総合的に認められるかを判断するもので、システマティックレビューとも言われます。

事業者が自分で研究を行う必要はなく、研究論文が登録されているデータベースを使い、必要な条件を設定して論文を抽出します。これら科学的根拠は、消費者庁に対する届け出に添付しなければなりません。適切な情報提供は、消費者が誤解しないような表示を行う、消費者が必要とする情報が開示されていることを意味します。

機能性表示食品は、特定保健用食品に比べて手続きが簡単で対象となる食品も多いのですが、表示できる表現についてはいろいろな制限が加えられています。

「消費者庁に機能性表示食品の変更届出をおこなうときの手順」

機能性表示食品は、医学的な表現が禁止されています。「診断」「予防」「治療」といった表現は使うことができません。また、治療効果や予防効果を暗示させる表現も使うことができません。「これで病気が治る!」といった表現ができないのは言うまでもありませんが、「高血圧の人に」や「糖尿病の人向け」などの表現も禁止されているのです。

また、健康の維持及び増進の範囲を超えた、意図的な増強を示すような表現も禁止です。「肉体改造」「美白」「増毛」などは、現状をより改善することを目指す言葉なので、機能性表示食品では使用できないのです。

機能性表示食品は、パッケージに表示しなければならない情報が決まっています。まず「機能性表示食品」という表示を、パッケージの主要面に表示しなければなりません。通常は商品名が記載されている面に表示されます。

次に「科学的根拠を有する機能性関与成分及び当該成分又は当該成分を含有する食品が有する機能性」です。これは「本品にはA(機能性関与成分)が含まれており、Bという機能が報告されています」などという形で記載してあります。

また、これと同じ面に「本品は、事業者の責任において特定の保険の目的が期待できる旨を表示するものとして、消費者庁長官に届出されたものです。ただし、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。

」の定型文を表示します。この他にも、1日辺りの摂取目安量や摂取方法などを表示する必要があるのです。

機能性表示食品で認められている表現は、「容易に測定可能な体調の指標維持、または改善に役立つ」「生理機能、組織機能の良好維持に役立つ」「一時的な体調変化で、本人が自覚できるものの改善に役立つ」ものです。

容易に測定可能な体調の指標、というのは体重や血圧、体脂肪率などを意味していて、「体重減少に役立つ」「体に脂肪が付きにくい」などの表現が可能です。この他、「体温の維持」「目の健康をサポート」「記憶の精度を高める」など、特定保健用食品では難しいような表現も可能となっています。

機能性表示食品は、普段の生活をサポートしてくれる頼もしい存在です。ただし特定保健用食品に比べると届出が容易、という点には注意しなければなりません。

消費者にとっては選択肢が増えた形になりましたが、それだけに正しい知識を身につけて商品を選ぶ必要があります。あくまで食品ということを理解し、賢く活用していきましょう。